少しでも側に

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「上がったぞ、葉月も入ってくるか?」 「あ、いえ、ご飯の後入ります」 「そうか」 食事を準備する彼女に、髪を乾かしながら尋ねる。 「今日は何だ?」 「ぶり大根を作ってくれていました。すごく美味しそうですよ」 「そうか」 だが、彼女が作った物でないと思うと、少しがっかりしてしまう俺がいる。 「お嫌いですか?」 「いや、嫌いじゃない」 「それならよかったです」 ただ彼女の手料理が食べたいのだ。 「葉月、明日は茶碗蒸しが食いたい」 だからリクエストしてしまう。 こんな事初めてで、だが彼女の手料理を欲していたのだ。 「え、」 「大変なら……」 驚きをみせる彼女にハッとした俺は大変ならいいと口にしようとしたが、「作ります、大丈夫です。他にも食べたい物があればいつでも言って下さいね」と言って、嬉しそうな表情に変わった。 その時の笑顔は可愛くて、「あぁ」と言ったものの直視できず、思わず逸らしてしまったほどだった。
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