少しでも側に

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「腹減った……」 「あっ、はい座られて下さい。今ご飯を装いますから」 この気持ちを悟られたくない俺に、彼女が飯を装い始めるため、内心ホッとして席に着いた。 塔子さんの食事を囲み、食べ始める。 それは旨いのだが、葉月だったらどんな味だろうと気になった。 「共哉さん」 「ん?なんだ」 「姉から、連絡ありました?」 「いや、まだない」 葉月の帰った後、米倉と少し弥生の事を話をした。 名字が変わってるだろうが、すぐに調べられそうだと言う米倉に密かに頼もうかとも考えたが、止めておいた。 「そうですか」 「結婚してるらしいから、旦那と話し合ってるんじゃないのか今頃」 そう言って少し後悔する。 自分から、彼女の知らない事を口にしてしまった。 「……確かに、そうかもしれませんね」 当たり前だが、暗くする葉月に焦る。 だからか、咄嗟に話を変えた。 「しかし、お前とは似てないな」 「え、あぁ……よく言われてました」 昼間、感じた気持ちを口にした。 同じ親から産まれたのに、全く似てない二人だ。 見た目も、雰囲気も、多分性格も。 「そうだろうな」 妻じゃなくても俺は断然彼女が好みだ。 それなのに葉月から出てきたのは謝罪だった。 「す、すみません」 「何が?」 わけがわからなかった。 「私も少しでも姉に似ていたらよかったんですが……」 何故そう思うのか不思議だが、検討違いのそれを正そうと口を開いた。
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