少しでも側に

19/21
271人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
「何でそうなる?」 若干苛つきそう言うと、彼女がビクリとした。 「え、っと……姉は綺麗ですし、社交的ですし」 それでも小さな声で理由を話す彼女に、思いきりため息を吐く。 別に俺は綺麗だとか社交的だとか、そういうのは求めてない。 「俺はそんなの求めてない」 「え?」 「お前が姉に似てたら、結婚してない」 それにもし葉月が弥生の様なら、結婚なんてしていないはずだ。 だがそれを言ってハッとした、 逆を言うと、葉月だから結婚したと宣言しているようなものだから。 自分で発していて恥ずかしくなる。 思わず焦りで表情が崩れそうになる。 「共哉さんは私で……」 しかし彼女の方が焦っているように見えた。 「なんだ?」 それに出来るだけ無表情で答える俺。 「いえ、これ美味しいですね」 「まぁな」 葉月が話を変えてくれて、どれだけ安堵しただろう。 俺は臆病なのかもしれない。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!