少しでも側に

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「葉月、ごめんね。色々心配かけたわよね」 葉月は大丈夫だろうか。 「私ね、寿の家を出てすぐ結婚したのよ。この子は私の娘」 娘を紹介され何も言えない彼女は、どんな気持ちなのだろう。 弥生を慕っていた彼女がいきなりそれを受け入れられるはずがないと思ったのだ。 その子供は姉、弥生に全く似ていない、 だから余計にそれを手伝うはず。 「娘の美月よ」 弥生が葉月を窺うように見た時、葉月が後ろに倒れそうになるのに気付き、慌てて側に寄り支えた。 「葉月」 腰に腕を回して、彼女を確認する。 「大丈夫か?」 その表情は堅く、顔色が悪く、とても大丈夫とは思えない。 「葉月、この方は?」 俺の登場に、弥生が尋ねた。 出ていく前は妹思いだったと聞く弥生は、俺の存在をどう思うだろう。 「私は葉月の夫です。昔お会いしたことがありますが、覚えてらっしゃらないでしょうね。蓮池、共哉です」 とても答えられそうにない葉月に代わり、彼女に挨拶をした。 「は、蓮池……」 それに、弥生の顔が強張った。 俺をよく思えないのが伝わる。
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