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こんな気持ちは俺だけだろうか。
彼女を離そうとしない俺に、小さな声が届く。
「そ、それでも、宮前さんが……」
塔子さんの存在を気にするから、更に面白くない気分にさせる。
だが、こんな状況を経験するのが初めてだからだろうと無理矢理に理解した。
「大丈夫だ、この部屋は防音だ」
声は漏れないはずだし、塔子さんの事なんて全く気にする必要はない。
むしろ、俺と葉月が仲良くしてる方が、母との会話を盛り上げられていいはずなのだから。
母を喜ばせる話題を提供するのが好きだ。
はしゃぐ母が簡単に想像でき嫌になるものの、葉月との時間が続く方が幸せだ。
「それよりどうだ?だるいか?今日は休んだらどうだ?」
彼女の身体は大丈夫だろうか。
葉月を見つめると、顔は赤く染まる。
「だ、大丈夫です」
照れているのが伝わって、
朝離れようとした彼女の行動がどうでもよくなってきた。
「無理するなよ。きついだろ?」
「大丈夫です、共哉さん。私今日ゆっくりでいいんで」
そう思うも彼女は大学に行く気だ。
「じゃあ尚更まだこのままでいいだろう」
俺は彼女を包むのを止めない。
「はい」
照れながらも、頷く葉月に満足した。
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