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二人の関係が変わっても、やはり葉月は葉月なんだなと感じる。
素肌を見せ合った昨夜の、恥ずかしそうにした彼女を思い出してはまたにやける。
「葉月、今日はなるべく早く帰れると思う」
俺が声をかけると、ゆっくりと身体をこちらに向けて、俺を見つめた。
「あっ、はい」
瞳しか見せないまま俺を見つめる葉月は、恥ずかしそう。
「お前はもう少しゆっくりしとけよ」
可愛らしい事をする葉月の布団を捲り、唇にキスを落とす。
「いってらっしゃい」
顔を赤くした葉月に満足し、仕事に行くため部屋を出た。
何でも出来そうな気さえする。
仕事中、彼女との事を思い出してはにやけていた。
米倉には葉月と夜を共にしたことがすぐにバレた。
無表情は得意だったはずなのに。
“今日の共哉は気持ち悪い”と、言われて俺はまた無表情を、と心がけるもどうしても緩んでしまう。
それだけ葉月と重ねた夜は俺を幸せにしているのだと思う。
甘い熱が身体に残っているようだ。
なるべく早く家に帰られる様にと、意欲を燃やす。
途中、崎田から葉月を無事に大学に送り届けたと連絡が入り、身体は大丈夫だっただろうかと不安にもなりながら仕事を進めた。
電話をしようとも思ったが、あまりうるさくしてもと止めておいた。
俺は嫉妬深い上、心配性らしい。
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