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「共哉さん……」
彼女の少し気だる気な声が俺を呼ぶ。
それにまた一つ頭にキスを落とした。
「ん?苦しいか?」
力が強かったかもしれない。
少しだけ抱く腕を緩めて彼女の顔を覗く。
俺の胸に埋めている葉月の顔は見えない。
だが、その姿を見下ろすのも俺を幸せにした。
「苦しく、ないです。ぎゅっとされるの気持ちいいから……」
さらに、可愛い言葉をくれるからたまらなくなる。
俺の心を簡単に捕らえる。
意図的でないからこそ、入り込んでくるのかもしれない。
天然に俺を揺らす彼女に惹かれっぱなしだ。
「葉月……」
今夜何度も呼んだ彼女の名を呼ぶと、更に顔を埋めてきた。
密着する肌と肌。あたる息は熱っぽく、熱くなる身体。
だけど、それすら心地よく感じる。
それは葉月だからだろう。
他の誰かではこんな気持ちになれない。
彼女と抱き合える幸せを実感し、俺は瞳を閉じた。
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