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「と、共哉さん?」
どうしてそう思ったのか不思議すぎてたまらない。
「戻ろう葉月」
それに彼は戻る気満々で戸惑う。
身体を店の方向に向かされる。
「と、共哉さん、」
「なんだ?」
だから歩き始める彼を慌てて呼び止める。
「婚約指輪はいりません。さっき買って頂いた指輪だけで十分です」
「葉月?」
それに足を止めてはくれたけれど、納得はしてない様子だ。
「きちんと婚約指輪を渡せてないから、丁度いい」
「そんな」
「ほら、とりあえず戻ってみてみればいい」
だけど私はもう一度、彼に伝える。
「共哉さん、あの指輪を楽しみにしたいんです。すごく嬉しかったので。ダメですか?」
共哉さんを見上げて見つめると、彼は困ったような表情になった。
「葉月」
小さく呟いて私を彼の胸に押し付けた。
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