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きっと、ここは路上であるから迷惑な二人だと思われるに違いないのに、彼から与えられる心地よさから距離を取りたくなくなってしまう。
せめても周りからは顔を見えなくして、そのまま押し付けた。
「葉月、次は服を買いにいくか」
「え、あ、はい」
服なんていいと言いたかったけれど、彼の声が指輪を購入する前くらいに明るく感じて、少しならと頷いた。
すると頭に置かれたままだった手で、今度は頭をよしよしと撫でられる。
「行くぞ」
次の行き先が決まったから、ようやく動き出そうとする彼は私の身体を離してすぐ、腕をこちらに差し出した。
「葉月掴むか?」
「はい」
出された腕に両手を絡ませる。
きっと彼は私の頭を二の腕に押し付け、きっと周りの目から逃れるようにしてくれた。
ありがたいことだが、密着しすぎてドキドキする。
「共哉さん」
「ん?」
それでも彼への感情が高まる。
「好きです」
こんな時なのに気持ちを伝えてしまう私がいた。
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