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義祖父も私達と同じものを頼み、正直食べられるのだろうか、と心配していたのだが、前菜もスープもメインのお肉も食べるペースが私より早く、驚いた。
肉が好きなのか、ペロリと食べてしまう。
「食事のマナーはしつけられてるようだな」
「え?」
それは私が肉を口に運ぶ時だ。
「会食の場は多いからな、マナーがいいに越したことはない」
義祖父が観察するように顎を触りながらこちらを見つめて言った。
「爺ちゃん、そんなに見られたら葉月が食べにくいだろう」
「いえ、大丈夫です、私は……」
きっと彼に相応しいか見ているのだろう。
その気持ちはわかる。
私ではとても不足だとは思うけれど。
「葉月、気にせず食べろよ」
「あっ、はい。とても美味しく頂いております」
すると義祖父が「そうか、旨いか?」と、尋ねた。
「はい。とっても美味しいです」
本当に美味しい。
それよりも尋ねてくれた事が嬉しくて少し笑んでしまう。
「そうか」
「はい」
気のせいか義祖父の表情が柔らかくなった気がする。
義祖父も共哉さんと一緒なのだろうか。
初めこそ恐いけれど、もしかすると彼のように優しい人なのかもしれない。
私を気にかけてくれるのだから。
「まだくるぞ、ゆっくり食べなさい」
「あっ、はい。お気遣い頂いてありがとうございます、頂きます」
ほら、やっぱりそう。
彼と似た一面を感じて、少し気持ちが楽になる。
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