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義父は仕事で、食事は三人で食べることになったのだけど、到底三人では食べられない量の物が目の前に並ぶ。
私のためだ。
ありがたいけれど、食べられるか不安。
二人と向かい合わせに座ると、表情を緩めた義祖父と義母に見つめられる。
「なんだか葉月さんがいるだけで華やかね」
「そうだなぁ」
「娘がたらこういう感じなのかしら、共哉が羨ましいわ」
「そんな……」
羨ましいなんて言い過ぎだ。
「共哉に毎日夕食を作ってあげてるのよね、今日はゆっくりしてちょうだいね」
「あ、ありがとうございます」
料理はとても美味しい。
しかし初めこそ、美味しく食べていたものの二人は私に食べさせようと、どんどん料理の乗った皿を目の前に置いていく、
「葉月さん、これ食べなさい」
「そうよ、これも食べて」という感じに。
それを上手く断れない私は、少しずつ食べていくしかない。
二人の話を聞きながら、食べていくのだけど、徐々に苦しくなってくる。
共哉さんがいたら助けてくれそうだけど、と思っていた時だった。
大きな電子音が部屋に響く。
「あら、共哉だわ」
それは義母の携帯だったよう。
「え?」
共哉さんに反応する私は、義母をまじまじと見つめた。
小さく目配せして、義母は電話を取った。
「もしもし、何?共哉?」
何の用だろう。
彼からの電話が気になって、胸が少しだけ多く鳴った。
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