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次に彼の小さく吐くため息の音が聞こえた。
「居心地は悪くないか?」
「は、い」
心配するようなものに、彼が気を回してくれたのがわかる。
「そうか、俺もいられたならよかったんだが……」
「そんな」
「二人があまり干渉してくる時はお前ちゃんと言えよ」
「え……」
「食事をあまりに薦めてくるとか」
「あ……」
今、まさにそうだった。
見られていたような言葉に何も言えないのは肯ととられてしまう。
わかりやすい私のせい。
「やっぱりか。爺ちゃんは?長く付き合わされたんじゃないのか?」
「え、いえ、食事の前はフルートを習ってたので、この後写真を見せていただくつもりですけど」
「そうだったな。しかし、長くなりそうだな……」
「え?」
私が首を傾げた時、米倉さんが共哉さんを呼ぶ声がした。
仕事中なのだろう。
「葉月悪い、後でまたお前には連絡する。ちょっと母さんに代わってもらえるか?」
忙しそうな彼に、返事も忘れて言われた通り代わった。
「何、え?あら、大丈夫よ」
何を言っているのか気になるけれど、聞こえない。
「もう、わかったわ、はいはい。そうね、え、あぁ、はいはい」
彼の話を流してるようにも感じるが、義母は笑って話していたから、悪いことではないと思った。
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