本当のところ

19/21
250人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
それでも美味しく食べちゃったのは私だから、やはり私のせい。 食後、義祖父は、私を義祖父の部屋に連れていこうとしたが義母が「お義父さん、アルバムをここに持ってきてもらいましょう。私も見たいわ」と言った。 「なんだと?」 「久しぶりに思い出したいもの」 「珍しい事を言うな……」 義母に引き留められ、アルバムを家政婦に持ってきてもらった。 それは共哉さんが、あまり長くならないようにと、義母に頼んでくれたかららしい。 私も義祖父もそれは知らない。 彼が心配するだけあり、見せたいという写真は思っていた以上に多かった。 私の実家にもない量の写真。 一人息子だからだろうか。 共哉さんの幼い頃から、と一つのアルバムを開き始めたのだけど、なかなか赤ちゃんの頃から進まない。 一日何枚撮ったのだろう、と思うほど。 同じポーズの物もたくさんあって、大切に育てられたのが伝わる。 赤ちゃんの頃の共哉さんは、全く今と違って新鮮で、可愛かった。 「お義父さん、懐かしいわね。こんなに可愛かったのね共哉」 「あぁ、あんたも若いな」 「もう、お義父さんだって、まだ白髪もないですよ」 「なんだと」 あまり進まないけれども、アルバムを囲い合うのは楽しい。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!