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「坊っちゃんには食事もとれて、お熱は少し下がった、と伝えておきましょうね。あまりお熱が高いのを目に入れてしまうのもいけませんからね」
「ありがとうございます」
確かに、そう。
「葉月さん、お薬飲みませんと」
「あっ、はい」
宮前さんから手渡された薬袋から、薬を取り出す。
それを手に取りすぐ苦味を思いだし顔が歪んでしまった。
「あら、漢方薬ですか?」
「はい。これとっても苦くて……」
でも飲まなきゃ、
私は薬を飲みむ。体内に浸透する気がした。
「葉月さん、坊っちゃんのお部屋のシーツ取り替えましたから、そちらで休みましょうか」
「あっ、はい」
「温かくしてゆっくり休むのが一番ですからね」
「はい」
「やっぱりお休みになる前にもう一度お熱計らせて下さい」
なんだか急に過保護になった宮前さんに、少しだけ違和感を感じたものの、優しいのはいつものこと。
彼女の言う通りにした。
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