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寝る時間、母が「蓮池さんと仲良くしてるみたいね」と言った。
「多分、そうなのかな……」
恥ずかしいため、多分と付けてしまう。
「葉月ちゃん、蓮池さんの事好き?」
今晩はリビングに布団を敷いて、母と一緒に寝ることにした。
「うん。好き。お母様、恥ずかしいよ……」
「そう、いいじゃないの、よかったわ」
昨晩あまり寝れてないというのに母と話していたくて少し、夜更かし。
「うん」
「もう蓮池さんに電話はよかったの?」
「えぇ」
母が入浴している間、彼にまた電話をかけてみたのだけど、彼は忙しそうだった。
「共哉さん、仕事相手とお酒を飲んでるみたいだったから」
「そう、付き合いも大変なのね」
食事中で、すぐに切られた。
だけど出た時の彼はまた嬉しいと言ってくれたから、
それを思い出して顔が緩む。
「葉月が幸せそうでよかったわ」
「え、う、うん」
なんだか私だけ幸せでよいのだろうかとて思ってしまう。
感傷的になってしまいがちな夜のせいか止まらなり、飲み込んだはずの言葉が出てきた。
「お母様は寂しくない?」
母の顔を見つめる。母は少し困ったように、でも優しい笑みをくれる。
「葉月が出ていっちゃったのはやっぱり寂しいわ。
でもそれよりもあなたが幸せでいることが何より嬉しいの。今日ここに来てよかったわ」
「お母様……」
母があまりにも優しい言葉をくれるから、布団に近い方の瞳から涙がゆっくり溢れた。バレぬようそれに押し付ける。
「あなたはもっと幸せになれるわ、葉月」
私なんて幸せになれない……
彼の下に嫁ぐときに、何度も思ったのに、それが今、こんな風に母に言ってもらえて胸が苦しくなった。
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