302人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
彼のベッドで眠るのは心地よくて、大学に行く時間になっているというのに、崎田さんからの電話を取るのも気付かないほど。
寝てしまっている私を知らない崎田さんは心配して、共哉さんに連絡していた。
今日来ないはずの宮前さんが様子を見に来たのは私のせいだ。
そんな私だけど、宮前さんが来たのにも気が付かなかった。
彼女は私が寝ているとわかり安心して、起こさないでいてくれた。
昼前に寝入った私が、目が覚めたのはなんと夕方を回っていた。
大学へ行かなければならなかったのに、彼が帰ってくるから色々準備したい。
色々思い巡らせ、焦り始める。
その時、扉が開いた。
「宮前さん……」
「気分はいかがです?葉月さん」
「どうして……?」
彼女が私を覗くから、驚いた。
「坊っちゃんが葉月さんと連絡が取れないのを心配していたんです」
「ご、ごめんなさい私……」
「いいんですよ、葉月さん、気分は悪くないですか?」
優しく言ってくれる言葉に、もう一度謝り首を横に振る。
「そうですか。疲れてらっしゃったのかしら……。
葉月さん、ちょっと失礼しますね」
私の額に宮前さんは手を置いた。
「寝起きだからかしら、やっぱり熱いわ少し……
葉月さん寝ている時も熱かったの、時間を置いてお熱計りましょうか」
「え?」
彼女の手には体温計がある。
それを見て自分の首元を触ってみる。
確かに、熱い。
もしかすると朝、感じてたものは風邪からくるものだったのだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!