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共哉さんはしばらく抱き締めていてくれた。
「このままじゃ冷えるな」
そう言うと彼は「お前の部屋に行くぞ」と言い、私を持ち上げた。
「え?」
私の部屋へ行き、ベッドへ下ろされる。
彼の部屋にいたかったのに、なぜだろう。
「汗かいてただろ?」
「あ、はい」
「明日俺のベッドのシーツは塔子さんに取り替えてもらうから」
「はい」
その理由に安堵し息を吐いてしまうほど、私の気持ちはバレバレなはず。
前は一人が当たり前だったのに、彼と寝ることが当たり前と化している。
どんどん彼に一方的にはまっていく気がして怖い。
「俺は風呂に入ってくるな」
「そうですよね、すみません、ごゆっくり」
「あぁ」
彼は私のせいで大幅に遅い時間になってしまった浴室へ消えた。
残された寂しさが重なり、久しぶりの自分のベッドがやけに冷たく感じる。
もしかしたらこの熱は、恋熱なのではないだろうか……
風邪だと診断されたのはどこかに飛び、そんなおかしな事を考えていた。
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