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私の熱は二日経つと下がり、普段の身軽な身体に戻った。
健康な時には気付かないが、普段の自分でいられることは幸せ。
治った今は休日に突入して、休みを取った彼はというと、私の横で気持ち良さそうに寝ている。
心配疲れだろうか。
今回の私の不調を共哉さんはかなり心配してくれたから。
彼をそのままにして、私はそっとベッドを抜け出してリビングへ行く。
「おはようございます葉月さん」
「おはようございます」
特別に今日も宮前さんはいてくれ、朝食を用意してくれていた。
「坊っちゃんは……」
「共哉さんはまだおやすみしてます」
「そうですか」
彼女は苦笑して、私に食事をするように言った。
きっと私と同じことを思っているに違いない。
彼が出張から帰った翌日、会社に行った彼は昼過ぎに帰ってきた。
家で仕事をすると言って帰宅したらしいが、あまり集中できていなかったように思う。
だって私の身体に触れては体温を気にし、薬や食事、それから着替えとお世話をしてくれたのだ。
さすがに早退したのはその日だけで、それでも宮前さんへの電話は多く、私にまで伝わっていて、彼女が若干呆れ気味なのまで伝わっていたほど。
そんなに暇ではないと思うのに、時間を見つけては気にしてくれていた。
それがどういうことかまだ今の私には確かには届いてない。
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