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彼との口付けは止むことがない。
それどころかどんどん激しくなっていくのは同じ気持ちだからだと理解してしまうけれど、
それを考える余裕もなくなっていく。
彼にソファーへ運ばれて、寝かされればもう次に起こることが簡単に予測できる。
期待してしまう気持ちが漏れぬ様、私は瞳を閉じた。
するとすぐ思っていた通り、彼が私に触れ始める。
それがたまらなく嬉しく感じてしまう私はどうかしてしまったのだろうか。
だがそれを尋ねるのは勿論恥ずかしく出来ない。
だから代わりに彼の名を呼ぶのだ。
「共哉さん……」
驚くほど甘い声が喉の奥から発される。
すると多分同じくらい甘いもので呼び返された。
「葉月……可愛い」
「んっ」
こうして彼と重なる時、何度と言われる彼からの言葉。
勘違いしてしまうほどの眼差しと共に伝えられるそれに、私は毎回震わされる。
「可愛い。
……だ」
そしてもう一度届くそれのあとに、
彼が思いきって台詞も乗せてくれていたのだが、
私には彼からの刺激にそれが届かなかった。
それでも今までで一番彼を近くに感じて、一番気持ちが繋がった気がした時だった。
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