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「姉は私を心配してくれたんです」
それは間違ってない。
姉にとっては私の幸せを考えてくれての提案だったはずなのだ。
飛び出した実家に戻ってまで。
「心配するのにどうして別れさせようと?
お前に好きな人ができたとでも思ってるのか?」
「好きな人は共哉さんです」
私が思わず本音を伝えると、彼はその瞬間多に瞳を瞬かせた。
固い表情が少し崩れるから、照れを少しだけ感じる。
それでも好きな人は彼だけだともう一度伝えて、私がぐるぐる悩んでいたことを話始めた。
「す、好きな人は本当に共哉さんだけです。
姉が心配していたのは、私たちが政略結婚だったから……
共哉さんのことを好きだと思い込んでいるんじゃないかって言われたんです」
「思い込んでる?」
「はい……」
私が頷くと彼は考えるように腕を組む。
「思い込むって……」
「姉は、私は誰ともお付き合いをしたことがないから、共哉さんを好きになるしかなかったんじゃないかって……。
それで一度共哉さんと離れてみたらいいと言われたので、色々……考えて……」
そして眉間の皺を深めた。
「共哉さん……」
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