252人が本棚に入れています
本棚に追加
私のその動きを彼は感じたのか、上から小さく笑う声がした。
ぶつけぬよう顔をゆっくりあげると、穏やかな中に熱い瞳をした彼がいて今から起こることを想像できる。
この感覚はきっと彼も感じてるはずだ。
「共哉さん……」
彼を呼ぶとキスをされる。
それは徐々にさっき車の中でされたような激しいものに変わっていく。
私の想像通り、二人の熱は高まってソファになだれ込むように抱き合った。
明るい場所で恥ずかしいと思うのも、今日は気持ちが大きくなっているように感じる。
それは私の左手の重みからかもしれない。
彼と手を合わせる時、彼に触れるとき、シルバーのそれが目に入る。
彼のものも同じく目で追ってしまう。
私はそれが嬉しくて、身体の熱が上がっていくのがわかった。
彼は何度と私に「好き」だと言ってくれた。
今までの気持ちを解放するように伝えてくれる。
その度胸が震えて、気持ちが繋がったことの大きさを感じていく。
そんな中で、彼の言葉が胸に響く。
「今のままでいいんだ」
「共哉さん?」
「俺は今のままの葉月が好きだ」
彼は私にそれを告げると、唇を塞いで何も言えなくした。
その意味の先を考えるが、応えるうちにわからなくなってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!