二度目の意味

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海と夜景を見渡せる公園は、定番のデートスポットなだけに恋人たちが多い。 彼と来ることができて嬉しいが、今はデート感覚にはなれない。 彼も私も無言で、きっと他の人たちと纏う雰囲気が違うはずだ。 彼はここにどんな用があるというのか。 彼はカップルたちが途切れた場所で足を止めた。 「共哉さん?」 私も立ち止まって、彼を見上げる。 その彼の目線は明るい景色の方に向いていて、私も同じくつられた。 夜のこの場所は初めてで、皆が集まる理由がわかるほど綺麗だった。 「綺麗ですね」 「あぁ」 緊張感を忘れて、気が景色にとられる。  テレビではよく目にしてたが、実際はより綺麗だった。 しばらく私はそれらを眺め黙ってしまう。 だがさきほどとは種類の違う沈黙だ。 「夜来たのは初めてか?」 口を開いたのは彼が先だった。 「はい」 私は彼を見上げた。彼の視線が私を捉えて口元を緩める。 「そうか」 「はい」 その表情に安心して、気が緩む。 「共哉さんは来たことありますよね?」 「まぁな……」 少し逸らされる視線に、誰かと来たことがあるのがわかった。 若干寂しさを感じるものの当たり前のことだと思える。 私より八つも上の彼だ。 この話は深く追求するべきでないと、話題を探す。 そこで、初めの疑問に再びたどりつく。 「共哉さん、どうしてここに?」 「あぁ……」 彼の顔がその質問を受けると、妙に固くなった。 その顔に私の胸は不安がわく。
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