二度目の意味

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前に姉の前で聞いたものが一度目だが、二度目の今は確実に私へ向けての疑い様のないものだった。 プロポーズをされた時の胸の高鳴りが、またよみがえる。 それくらい衝撃が大きくて、しばらく固まってしまった。 「葉月?」 長い沈黙に彼がこちらを向いた。 ちょうど信号待ち、確認するにはちょうどよかったのだろう。 不思議そうでいて、照れも感じる彼の表情に、私は嘘じゃないと理解した。 「葉月?」 今日の彼は私のせいだが、表情がよく変わる。 黙っていては誤解を生むと、口を開いた。 「共哉さん、好きって……」 「繰り返すなよ……」 「だって初めてで嬉しくて」 きちんと言葉で伝えられるのがこんなに嬉しいとは思わなかった。 「初めてじゃないだろ」 感激している私に、彼の声が届いた。 「え」 「二度目だ」 心当たりのないものに、私は驚いた。 いつ言われたかも思い出せない二語に頭を捻るも出てこない。 「いつ……」 素直に問うと、彼は小さなため息を吐く。 「聞いてなかったのか?」 それに私は、彼が姉へ伝えた言葉を盗み聞きしたことがバレてると思い焦った。 「え、あ……。 ごめんなさい。 私、わざとじゃないんです。たまたま聞いてしまっただけなんです」 「は?」 思わず頭を大きく下げて謝罪する。 「何のことだ?」 「え、初めて姉と食事した時、共哉さんと姉が話してるのを聞いていて…… それに気付いてたんですよね?」 私が彼に自白すると、彼の顔が僅かに赤くなった。 「お前あれ聞いてたのか?」 「え……。す、すみません」
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