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優しいそれに彼から離れたくないという思いが胸に広がる。
「共哉さん、もっと……」
「ん?なに」
聞き返される声が耳に響く。
「もっと、して欲しいです」
反して私の声は恥ずかしく、語尾が小さくなった。
それでも自ら要求してしまうくらい高ぶっている。
すると彼は僅かに口の端を上げて、私を膝の上に乗せた。
それからすぐ、私のおねだりは叶えられる。
彼の愛情を強く感じた夜は、甘く熱い空気に包まれて更けていった。
姉と会うことができたのは、その週末だった。
「葉月一人じゃないの?」
「こんにちは。私も休みだったもので」
家に姉を呼んだのだが、彼がいることは伝えていなかった。
その為、始まりが微妙な雰囲気になってしまったのは私のせいだ。
「そう……。
せっかくのお休みをお邪魔してすみません」
「いえ」
「や、弥生姉。中へどうぞ」
「ありがとう。お邪魔します」
姉を中に通して、私は彼をそっと窺う。
その顔は柔らかくて、背中に添えられた手に安心した。
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