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それから祖父と彼女を交えて食事をしたが、二人は仲を深められたと思う。
彼女のことは結構気に入ったはずだった。
結婚式を早く挙げるように言った後に、ひ孫を欲しいと言い出したから。
「私も息子も一人しか子供に恵まれなかったからな」と、言った祖父は少し寂しそうだった。
「葉月さんはまだ若い。こう言っちゃ負担に感じるかもしれんが、一人とは言わず二人、三人お前たちの子供の顔を見せて欲しいもんだな」
「爺ちゃん……。葉月は学生だから、まだ先の話だよ」
今日買い物したものに子供用の皿があったが、きっとまだ先の話。
あまりしつこく願うと彼女は嫌になる気がした。
俺も実際昔は言われて面倒だったから、きっと同じだ。
「学生でも子供は産める、まぁこれもお前達次第だがな。女児には縁がなかったからな。
是非抱いてみたいもんだよ」
「お義祖父様……」
しかし彼女は優しいから少しも嫌な顔をせず、むしろ瞳を潤ませて祖父を見つめる。
この日以降祖父が度々俺に連絡を入れるようになった。
「葉月さんは元気か」と、口にする祖父は昔より若くなったような気さえした。
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