未来月

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もう、こんな時間…… 私は自分の左腕にある時計の時刻を確認して、歩く足を早めた。 季節は梅雨を過ぎ暑さを感じる頃、午後七時となろうとしているのにだいぶ明るい。 「共哉さん今日早いって言ってたな……」 思わず小さく呟いたのは夫である共哉さんのことだ。 私は今年、無事に大学を卒業し、彼と5年目の夏を迎えようとしている。 大学の卒業式には、彼は仕事だったにも関わらず、校門で私を待ち構えてくれていたのは記憶に新しい。 数えられない本数の色とりどりのバラの花束をそこで差し出されて、嬉しかったのはもちろんだが、少し恥ずかしさもあった。 だって、かなり目立ったと思うのだ。 「葉月おめでとう」 共哉さんはそう言って、私に優しく微笑んだが、彼は恥ずかしくなかったのだろうか……なんて思うがそれは聞けなかった。 大きな花束はドライフラワーにし、今、玄関を開けてすぐ見えるところに飾ってある。
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