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共哉さんが困るとはどういうことだろう。
私に友人がたくさんいたならば、主婦業ができなくなるからだろうか。
たしかに、主婦業との両立は難しいと思う。
しかし、その答えはわからなかった。
「……葉月、飯にしないか?」
私はもう、問うことができない。
「え、あぁ……」
壁掛け時計の針は、普段ならとっくに夕食を食べ終えている時間を指していた。
急に焦り始める私は、少し前を後悔する。
「ごめんなさい、私が携帯を触ったから……」
「いや、そんなのたいした時間じゃないだろう。それより……」
それよりなんだろう……
「葉月と俺の…」
そこで私は彼が何を言おうか予想がつき、わざと大きな声で「今、準備しますね」と、立ち上がった。
きっと、お風呂でのことを言うに決まっている……
「あぁ」
その声は、やはり楽しそうだった。
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