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「ごめんごめん」
それでも、共哉さんが私の身体を抱き上げて、彼の膝の上に移動させ向かい合わせに座らせると、気持ちは巻き戻される。
彼に触れてほしかった、私が密かに望んだ気持ちに。
それに彼が私の唇にキスを落とすと、心は彼でいっぱいになるから不思議だ。
「共哉さんの意地悪……」
その声は自分でも、少しも怖くないとわかる。むしろ、逆……
「映画はまた今度にしよう」
彼は私を膝に置いたまま、テーブルにあるリモコンに手を伸ばし、電源をオフにした。
その際、身体同士がよりくっついて嬉しい、なんて思ってしまう。
「はい」
私はそうして欲しかったから、すぐに頷いた。
「共哉さん……」
「ん?」
「意地悪だけど……好き」
すると、彼が笑って私の額に彼のものを合わせた。
彼の額は冷たい。
私がどれだけ熱っぽいかわかる。
「俺は意地悪をしたくなるくらい好きだよ」
そんなこと言われたらもう、完全に許してしまう。
彼は本当にズルい。
私は単純だから、彼の背に腕を回し、いっぱいにくっついた。
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