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十月の最後になると色々な衣服が雑貨屋などに並ぶのを目にする。それは触ったことがなかったため、少し感激する。
素人のため、本物なのかわかりかねるが、病院で見るものと同じように感じた。
「へぇ……」
彼はあまり興味がないのか、触れようとはしない。
でも、私は新しいドレスをもらったときのようにわくわくするような感覚があった。
「なんだか、楽しみかもです」
「……そうなのか?」
「はい。だって、私看護師さんでもないのに……こんなことはじめて」
すると彼は「あったら困るよ」と小さく言った。
私は“困る”の理由がわからなかったが、とりあえず立ち上がり「私の部屋で着てきますね」と言ったが、彼に手を引かれてしまう。
「共哉さん?」
「見ないから、ここで着替えろよ。俺も着替えるし」
彼はまだパジャマ姿のままだ。
彼が着替えるのはわかるが、どうしてここでと、疑問に思う。
「俺はこっち向いとくから」
共哉さんはクローゼットのあるほうへ身体を向けた。
それからクローゼットの中から服を探しはじめる。
言った通り、こちらを見る様子はない。
私は、ちらりちらりと確認しながら、着替えることにした。
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