朔月

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共哉さんがベッドの上で私の髪を優しくすいた。 私は気持ちがよく、瞳を閉じる。 「葉月、今日は出掛けようか」 休日の三日目の朝、共哉さんは私にそう言った。 「大丈夫ですか?私はお家にいてもいいんですよ……」 私は上目遣いに彼を窺う。 今日ものんびり過ごすつもりでいたため、彼の提案に戸惑っていた。 「いいよ。葉月の身体が大丈夫なら……だけど」 彼は悪戯な顔を私に見せる。昨晩のことを指しているのは丸わかりだ。 私も彼も二日間一歩も外に出ることなく、家の中で過ごした。 ほとんどの時間をくっついて過ごしていた私たちだが、彼が指すのは熱く甘い時間のことだ。 「大丈夫ですよ……」 私がさらに上目遣いにして見つめると、彼は「じゃあ行こう」と、言って笑った。 「はい……。でも、どこに行くんですか?」 「うん、買い物」 「……わかりました」 彼は何の買い物をするのか言わず、私の頭をぽんぽんとするように彼の手で触れた。 「普段の格好でいいんですか?」 「いいよ」 彼はときどきお洒落な場所に連れていくため、私は確認するようにしている。 普段の格好と聞いて、少しホッとした。 それを彼は見抜いたのだろう、わずかに笑んで今度は優しく頭を撫でた。
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