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「はい。そうします……」
そう小さな声が耳に届くと、とりあえずほっとして彼女の頭を撫でた。
「うん」
「あの、共哉さんはなぜここに……」
「葉月がそろそろかなと思ってね」
「あ、すごい。ちょうどよかったんですね。ありがとうございます」
それにもう一つ安堵した。
迎えに早めに来たことを、少しも迷惑じゃないような顔で笑うから。
「帰ろうか。友達はまだ店?」
「あ、はい」
「声かけておいで」
「いいですか?ちょっと待ってて下さいね」
「あぁ」
彼女は店の中へ一度戻ったものの、すぐに出てきた。
彼女のバッグを取り開いたほうで、俺より小さな手を掴み「帰ろう」と、言って歩き出す。
「楽しかった?」
「はい。楽しかったです」
「よかったな」
彼女はそれに頷いた後、「そうだ」と、口元を緩めて首を見上げた。
「ん?」
「共哉さんの写真見せたら、友達がかっこいいって言ってましたよ」
「そう……」
なんと反応していいのか。
「勝手に見せてごめんなさい」
「いや……」
彼女が知らないところで俺の話をするというのは、あまり想像がつかない。
どんなことを話すのだろう。
少し見てみたいと思った。
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