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「もう一度結婚式を挙げるのは大変だと思うので、私たちと両親でドレスを着た姉と写真を撮ることだけでもできませんかね……」
「弥生に聞いてみるか?」
「いえ、サプライズみたいにしたいんです」
「あぁ、それもいいかもね」
俺が納得をみせると彼女は嬉しそうに笑った。
彼女自身大変であるのに、随分姉思いだ。
「そこでじつは勝手に頭の中で企てたんですけど……」
「え?」
「私たちの結婚式の後に姉にドレスを着せて、写真撮るのはどうでしょう」
「俺たちの?」
確かに皆その格好だからいいかもしれないが、どうだろう。
しかし彼女の頭の中ではその思考は組み立てられている。
「いいかもしれないが……」
そんな話聞いたことがない。
結婚式に正解はないし、式の後は二次会を開く予定がない分時間はある。
「わ、やった……」
俺は認めたつもりはなかったが、彼は肯と捉えて葉月のものと、もう一つ姉のためにドレスを選んでいた。
その企みは彼女の中で密やかに進んでいったのだ。
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