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それと同時に密かに進めていた指輪はいつでも渡せる状態になった。
彼女は喜んでくれるだろうか。
式の日までバレぬよう自宅のデスクの奥に仕舞い、その日を楽しみにする。
慌ただしく時は流れ季節は秋、彼女も一つ年を重ねた。
彼女もようやく二十歳になり、なんとなく安心したのは記憶に新しい。
やはり十代と二十代とは俺の意識が違う。
彼女もそれは同じで、年を取るのに嬉しそうだった。
しかし一つだけ気になることが増えた。それは彼女の酒癖だった。
彼女の希望で自宅でアルコールを飲む日が増えた。
「共哉さん、これ美味しい……」
「そう。だがそろそろ止めてた方がいい」
「あっ、はい」
彼女は甘いそれをひどく好み、止めなければ寝てしまうまで飲む。
突然寝てしまうから初めは倒れたのではと不安になったほどだった。
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