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彼女の唇はいつもより尖り、その瞳は寂しそうにグラスを見つめる。
「じゃあもう一杯飲む?」
「いいんですか?」
「いいよ」
すると一気に表情が緩んで「やったぁ」と、並びのいい歯を見せた。
いろんな表情を見せるけど一番は笑った顔が好きで、こちらまでつられて笑う。
「そんなに嬉しい?」
「はい」
「ふーん」
俺はもう一杯今のものよりどの弱いカクテルを頼んだ。
「あ、美味しいこれも」
「よかったな」
「はい」
しかし機嫌よく飲みだした彼女だが、少し前の俺の予想は当たり、途中からうとうとし始めた。
「葉月」
「ん……」
瞳を眠たそうに開閉させ、多分意識は半分寝てる。
これだから不安で、目が届かないところではあまり飲ませたくない。
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