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翌朝の彼女は案の定慌てた。
「おはよう」
彼女が動く気配に目を覚ました俺は先に口を開いた。
彼女は少しの間、左右に顔を振り身体を起こす。
「わ、私……」
「よく寝たね。頭痛くない?」
「だ、大丈夫です。共哉さん私……」
彼女はメイクを落とさぬままでいた頬を両手で触る。
「最後の一杯がきいたかな……」
「ご、ごめんなさい。私また……」
「いいよ。それより風呂に入る?」
彼女は無言で頷いて、そして掛け布団を上げた。
「わ、え……」
「脱がせたよ、皺になるから」
「な、なんて私……」
彼女はすぐにそれを戻して俺の視界から隠す。
朝から見せる可愛い反応に笑って、俺も起き上がった。
「湯船に浸かりたい?」
「あ、はい……」
「待ってて、溜めてくる」
彼女の頭を少し撫でて、俺は浴室へと向かう。
「共哉さん、私が……」
すると彼女は昨夜のスカートを履いて追いかけてきた。
「いいよ、溜めるだけだから」
「すみません……共哉さんも入ります?」
珍しい彼女の誘いに乗りたいが、休日なのに今日は仕事がある。
「今日は仕事なんだ」
「え、そうなんですか……」
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