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「そこまで遅くならない。帰ったら一緒に入ろうか」
しかし彼女は一緒に入るつもりで誘ったつもりではないようだった。
「いえ、一人で入ったほうが落ち着きますよ。それより共哉さんお仕事でしたら朝御飯食べなきゃですね」
「あぁ」
「私準備してきます」
彼女はすぐに浴室を出ていってしまった。
簡単に断られて少し面白くない。
きっと今から慌ただしく調理し始めるのだろう。
俺は浴槽に湯を張るとキッチンへ足を向けた。
「そんなに慌てなくていいよ。ゆっくり出ても大丈夫だから」
すると彼女は卵をとく手を止めて俺をカウンター越しに見つめた。
「あ、はい。共哉さん、すみません今日お仕事だったんですね……」
「いいよ、仕事を少し片付けにいくだけだから」
「ありがとうございます……。あの、お弁当は要ります?」
「どうしようかな、葉月たまには外でランチしようか?特に用はないだろう」
「え?あ、はい」
「じゃあ昼前に迎えに行くようにするから」
「いえ、私が行きます。待ち合わせするのはどうですか?」
それは彼女が憧れてるものの一つだった。
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