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「いってくる」
「はい、また後で」
「気を付けておいで」
「はい」
「ついたら連絡して」
玄関で見送られる俺は、逆に見送る気分だった。
「わかりました」
もう成人してるというのに、きっと彼女も呆れているだろう。
しかし優しい性格だからか、慣れているからか面倒な顔はしない。
「共哉さんも気を付けて下さいね」
「あぁ」
俺は「いってくる」と、もう一度言って彼女にキスを落とした。
それにはにかんだ彼女は「はい」と、言って手を振る。
なんとなく落ち着かない午前を過ごしたことは言うまでもない。
何度と彼女から連絡はこないかと携帯を気にした。
しかしそれは一度も鳴らない。
その上一時と約束した場所に結構早くつくように足を向けた。
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