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変な毛の伸びてくる、ぬいぐるみも見せられました。
有名なキャラクターでしたが、そうは思えないほど変わりはてていました。
なんというか……目つきが、ふつうじゃなかった。
全体が白いのに、落ち武者のように、ザンバラの茶色い毛が、何本も生えていました。
もちろん、最初から、そんな造形のキャラクターではありません。
そんな話を聞いたあと、僕は帰ることにしました。
「じゃあ、またね。帰るよ」
そう言って、僕が立ちあがった瞬間です。
テレビ台の上に、つまれたビデオテープが、一本、飛びました。一番上の一本だけです。
夏なので部屋はしめきり、クーラーをかけていました。エアコンは遠く、風があたるはずはありません。
僕らのすわっていた場所から、二メートルは離れていました。僕が立ちあがったときの振動で落ちたとも思えません。
しかも、ただ落ちたんじゃない。
あきらかに、飛んだ。
テレビ台から、一メートルも離れた場所に……。
くずれやすくなっていたなら、つまれていた他のビデオテープも、いっしょに、くずれたはず。
「……きっと、帰ってほしくないんだねぇ」と、友人は、つぶやきました。
その後も、数年に渡って、そんな現象が続いていたようです。
なぜ、“ようです”なのかって?
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