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ぶうううううんっ。
耳元で何かが飛ぶ音がした。驚いて耳の近くを思い切り手で仰ぎ、音がした方を向いた。
……何もいない。虫でもはたき落したんじゃないかと、仰いだ手を見る。
てのひらには、小さな黒い粒があった。ホクロじゃない。それは、蠅だった。
その蠅が普通じゃないのは、人間の顔をしていたからで。
Мさんの顔をした蠅は、いつの間にかてのひらから消えていた。
かさかさかさかさっ。
今度は、耳の中から音がする。
「私がSNS映えする写真の撮り方を教えてあげる」
耳の奥で、Мさんが笑った。
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