五右衛門

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タカハラは五右衛門に石鹸の国へいこうと言い出した。 「でも、タカハラさんは子供が3人いる既婚者じゃないですか」といったところ、 タカハラは「いいの、いいの」うちの妻は浮気しなければ何をしてもいいいと公認済みだから」 といってきた。 五右衛門は「あんなにきれいな人がいうのに、どうして」と聞いたところ、 「DNAマッチングだよ」と訳の分からないことをいってきた。 とりあえず、タカハラの馴染みの石鹸の国、カメハメハランドにいくことにした。 タクシーで東京の吉原までいき、支配人の村田に「いつものコース、大車輪コースで」 といって、「じゃあ、2時間後くらいに、また」といって、スキップしながらスペシャルルームに行ってしまった。 五右衛門はひとり残されたままだったが、支配人の村田が、「お客様は初めてのようですね」と言い、 「お好みの女性のタイプはありますか」と尋ねてきた。 五右衛門は、「綾瀬はるかのような女性を」といったところ 村田は、「承知いたしました」必ず、「お客さまのご希望に沿える女性を用意いたします」と言った。 五右衛門が部屋に通されると変な形の形状のものでいっぱいだった。 「なんだ、この椅子は,まん中があいているじゃないか」と独り言を言った。 一番、疑問に思ったのはビニール製のベッドだった。これで何をしようとするつもりなのか これらの疑問はのちに明らかになるのだが、今は頭のなかで現代文明に放り込まれた原始人のようだった。 そうこうしているうちに、五右衛門のお相手の嬢がきた。 色の黒い、太った、カメのように首がみじかい、醜いオンナが入ってきた。 「おらの名前は、カメ子どす。よろすくお願いします」 北関東のなまりがきつい。 五右衛門は目を丸くして、「僕は『綾瀬はるか』に似ている子をと頼んだんだけど」 「カメ子はワタスの本名は早瀬ハルカです」と五右衛門に告げた。 闇のなかで辻斬りにあった気分だ。 五右衛門の頭の中にショパンの葬送行進曲が流れはじめた。 「五右衛門がこわごわとチェンジは可能か」とカメ子に聞くと追加料金で五千円も必要らしい。 観念して、五右衛門は初の交流戦に挑むこととなった。
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