8人が本棚に入れています
本棚に追加
/83ページ
理由を聞くと、五右衛門は旧日本育英会の低所得者免除に認定されているが、期限が来年きれるそうだ。
そうなると一千万近い借金が旧育英会から一気に請求されはじめる。
返済が滞ると、「こわーいお兄さん」に拉致監禁されるらしかった。
女はニョタイを生かせる場所に国内外問わず、売りとばさられ、男は、臓器を売りとばすため国内の某闇病院に無理やり連れていかされるそうだ。
また、遠洋マグロ漁船に乗せられ、生涯、日本の「ツチ」を踏むことがないそうだ。
カメ子は五右衛門の中身に惚れて結婚するわけではなく、五右衛門砲を見て感動しただけだ。
偉大な逸物をもつ者は身内一族が幸せになるというカメ子の信ずるカメハメハ教の経典を純粋に実践しようとするだけ。
つまり、五右衛門がどんな人物であるとか、彼女のオトコの好みなどは、どうでも良かったのだ。
「偉大な五右衛門砲」を搭載するオトコだ、ということ以外は何もみていない。
五右衛門は、彼女の決意など知らない。
彼は惨殺されたナガオと学歴・経歴に拘ってきた五右衛門の半生、サマーセット・モームの描くフイリップに自身を重ね合わせて、ただ、一人感傷に浸っていた。
最初のコメントを投稿しよう!