ポンコツロボットのその後

1/2
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/83ページ

ポンコツロボットのその後

五右衛門の計らいでミズコシは、タカハラのいる東京ナポリタン大学付属研究所に移動された。 そこで、タカハラ研究室で新作品の太陽パネルを主電源と気化熱を応用したサブ発電を併用しているハイブリッド式の駆動装置と水素電池を搭載する施術をおこなった。 体の部品も旧型と異なり最新式のを使っていること、頭脳は新しく制定されたロボット法のもとでシリコンを原材料とする桁違いの性能のプロセッサーとベータ版ながらも多機能の用途をもつRobo吉 ver1をインストールした。 生まれ変わったミズコシだが、表情はさえなかった。 今日も1215号室の個人部屋から見える沈む夕日をみながらもの思いに耽っていた。 オオネ助教が様子を見にきた。 若いながらも、タカハラ研究室の片腕として天才の腕をふるって、創世記にある東京ナポリタン大学のタカハラ研究室の押しも押されぬキーパーソンである。 来月からはドイツに留学するという。 タカハラ教授は非常に残念がったが、心よく送り出してくれることになった。 「ミズコシさん、調子はどうですか」と柔和な表情ながらも理性的な顔立ちと眼光の鋭 さで一瞬にして、ミズコシは身構えた。 「明後日は退所だ」と思い、 「僕はどうしたらいいんですか」と人間の年齢で20歳近く離れた の若者に愚問をぶつけた。 オオネ助教は、窓をみながら「太陽が沈んでいきますね。 今日は特にきれいな夕日ですね」と応えた 「質問をする人はすでに自分で答えが分かっていると聞きます」 「ミズコシさんが自分が進むべき道をもう分かっているんじゃないですか」と 優しく答えた。
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!