698人が本棚に入れています
本棚に追加
/315ページ
第八十五話『カニ』
「さて、準備できたわ!」
「よーし、街じゃの!!」
と、僕らはとなりの街『ギリムウィル』に向かった。
「ほほう、ここが街かぁ」とめちゃくちゃ嬉しそうなハーデスちゃん。
「くるの初めてだもんね?」と僕が言う。
「いつも窓から見ておったぞ!!」
と堂々というハーデスちゃん。
「元気だけど、学校にいけなくて窓からそとばかり見ている、引きこもりっぽい発言だ」と僕が笑う。まあ近からず遠からずそんな感じなのだろう。それもなんとなく分かってからあの城からハーデスちゃんをつれだしたという面も少しある。
「来れて良かったね!」とカナデが言う。
「うん!!」
とハーデスちゃんが笑う。いつもの尊厳口調のことは忘れたらしい。とても嬉しそうに笑うのでとても可愛い。
この二人はあっさり仲良くなっているようだった。
ハーデスちゃんとカナデが
「あれはなにかのぉ」「あれはこう使うのよ!」「なんと!!」みたいなやりとりをずっとしている。
「いきなり都会に出てきた、田舎の子どものようだな」
いや、まさにそのとおりなんだけど。楽しんでいたたげたらなによりだった。発見がいろいろあることだろう。
最初のコメントを投稿しよう!