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第八十三話『かけるか、かけないか』
「それより、これ!」とヒビキさんが言う。
「あ、そうだった」と思い出す僕。
「じゃーん、ここにレモンがあります」という僕。
「きた!」とキョウちゃんが目を輝かせる。街で買いに行った時から楽しみにしていたのだ。
「すでに切ってあるのがこちら!」
と絞れるように切ってあるレモンを取り出した。
切ってない方のレモンはさっとしまった。
「じゃあ、なんで、切ってないの最初に出したのよ」
と笑うカナデ。そういう伝統なんだよ!と答える僕。
僕の世界では古より伝わる伝統なんだ。テレビのお料理番組では!
「それどうする?」
と、キョウちゃんが不思議そうに聞く。
確かにこれを初めてみたら、何をするのか分からないかもしれない。なので早速やってみることにした。
「こうします!」
とキョウちゃんの唐揚げに向かってレモンを絞る僕。
勢い良く汁が唐揚げにかかる。
揚げたての唐揚げが水分をあび、ジュワっとなる。
おお、おいしそう!
「おお!」
とキョウちゃん。感動している様子だ。
「プシュってなった!」
と、さらに感動を口にするキョウちゃん。
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