4人が本棚に入れています
本棚に追加
てか、これは夢と言うよりは、少し薄れていた俺の記憶のかけら。
俺は、中3のとき姉さんが死んだときより前の記憶をあんまり覚えてない。
大好きだった姉さんを失ったことのショックだろう。
姉さんは交通事故で死んだ。
バイクを運転中の姉さんは、トラックにはねられた。
俺から、母さんはだんだんおかしくなっていった。
それから、行き場を失った2人を俺の家で引き取ることにした。
『へー、琉斗くんって言うんだ!よろしくね』
小学生の未央の声がする。
「琉斗ー?着いたよ」
「えっ?気づかなかった」
「ぐっすり眠ってたもんね」
「一応聞くけど、寝言言ってなかったよな」
俺がそう聞くと、未央は少し考えてから答えた。
「うーん、多分言ってなかったような。
てか、聞かれて困る内容の夢だったわけ?」
「ああ、あのときの夢を見た。夢というか、記憶というか」
「あの時?」
未央は、不思議そうな顔をした。
「ああ、俺らが出会った1番最初のときの」
「ああ、小学生の時の?」
「そうそう。あの時の記憶少し忘れてたんだけど、思い出したんだよね。今回の夢のおかげで」
「そっか!良かったというべきなのか」
彼女はパッと顔を輝かせてそう言った。
「まあ、良かったといえばよかったと思うよ。たぶんね」
※
僕が、バス停についたとき、2人はにこやかに話していた。
「遅くなってごめん。待った?」
「全然!待ってない」
「それじゃ、行こうか」
そういう真宙の言葉によって、お墓に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!