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どこか懐かしい気がする。
気のせいだろうか?
何処かでまだ、万由里お姉ちゃんが生きているように錯覚してしまう。
「琉斗?やっぱり、辛い?お姉さんが亡くなったの」
「うんうん。好きだったもんな。お姉さんの事」
「ま、まあな」
「今でも忘れられない。でも心の何処かに存在してて、夢の中の記憶で現れたりする」
そして帰り道、琉斗が涙を流した。
「やっぱり、俺が馬鹿だったんだな。あの日、初めてできた友達と遊ぶって言って、夜遅くなって。
俺をバイクで迎えに来てくれるって言うから、お願いしたんだ」
「別に琉斗のせいじゃないよ」
「そうだよ。元気出しなって」
身内だったんだし、僕らよりも辛いのは、よくわかる。
でも、今は、彼を慰めるべきだと、僕は勝手に思う。
そして、次の日――。
「こんな感じでかなりいい感じじゃない?」
「だな!初めて合わせたときよりも、息が合ってるかもしれない」
僕ら5人は、バンドの練習中。
未央の借りた、スタジオに集合した僕らは未央の知り合いに作曲してもらった曲の歌詞をつける作業から始めた。
それが、なかなか決まらない。
みんな、あれ入れたい、これ入れないなどなど。
意見は合わないわ、息も合わないで、成功するかも怪しいくらいだった。
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