4人が本棚に入れています
本棚に追加
/73ページ
プロローグ
桜がきれいだ。
こんなにも、桜がきれいだなんて思ったことは一度もなかった。
なぜだろう。
きっと、考えても無駄であることはわかっている。
そして、高校1年生になった4月。
僕は、星桜学園高校の高校に通うため、家の前の桜並木を通りながら上を見上げた。
ふと、強い風が吹いた。
数枚の桜の花びらがひらひらと舞うこの日、晴れて入学式を迎える。
しかし、のんびりしている暇はない。
全寮制であるため、しばらくはこの土地に帰ってくることはまずないだろう。
そう思って、感傷に浸っていた。
「遅れるわよ」
僕の背中から声がした。
最初のコメントを投稿しよう!