40人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
主人公side
「次は弓の練習をしましょう。慣れてきたので弓に魔法を付与してみましょうね。」
セシル兄様も、六歳前までは植物や動物の知識を教えてくれていたが、六歳を過ぎてから弓も教えてくれるようになった。
百発百中とは言わないが、そこそこの確率で当たるようになった。
「じゃあ、次は俺と組み手な!昨日は三本取ったろ?だから、今日は四本とれるように頑張れよ!」
ガイ兄様は、二歳から森の中をランニングしたり、体の使い方を教えてもらったりとスパルタ教育をしてくれた。
最近は素手での組み手をしている。
最近では十本のうち三本程度ならとれるようになった。
「じゃあ、夕方は俺と魔力コントロールの練習な。」
父様は、最初はこの世界の学問を教えてくれていたのだけれど、二度目の生のこの体はスペックが高いらしく、すぐく覚えてしまい、今では家事をしながら魔力コントロールの魔力玉や人型を作ったりするということをしている。
今は邪魔にならないように透明化させて、人型五人と一緒に家事をすることができている。
「はい!」
私は、よく笑うようになったと言われる。
父様たちから色々なことを教えてもらえるようになったり、村の人たちとよく話すようになり、明るくなったと言われた。
そうだろうか?
そうならばきっと、父様たちのおかげだと思う。
そもそも、私がこうやって生きているのは、父様たちのおかげなのだから。
そんなある日、近くの村にやってきた時、いつもと違うことに気が付いた。
村の中心である広場から聞こえる物音、気配の多さ。
そして、異様な雰囲気。
「どうしたんですか?」
私は近くにいた顔見知りのおばさんに聞いてみた。
「あら、セツナちゃん。昨日はベリーをありがとうね。」
「いいえ。それで、何かあったんですか?」
聞くと、おばさんは眉をひそめ、広場の方に目をやった。
「たしか、王族直属の騎士って言う人が、お姫様を連れてやってきたのよ。なんでも、このあたりの若い男を集めてるらしいわ。」
若い男って、見た目がってことだよね?
だったら、父様や兄様たちも当てはまる。
強さも美しさも申し分ない皆が、王族とやらの魔の手にかかったらどうしよう。
私は引き止めるおばさんの声を無視し、森の中に駆けていった。
最初のコメントを投稿しよう!