六年後の事件

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主人公side 「次は弓の練習をしましょう。慣れてきたので弓に魔法を付与してみましょうね。」 セシル兄様も、六歳前までは植物や動物の知識を教えてくれていたが、六歳を過ぎてから弓も教えてくれるようになった。 百発百中とは言わないが、そこそこの確率で当たるようになった。 「じゃあ、次は俺と組み手な!昨日は三本取ったろ?だから、今日は四本とれるように頑張れよ!」 ガイ兄様は、二歳から森の中をランニングしたり、体の使い方を教えてもらったりとスパルタ教育をしてくれた。 最近は素手での組み手をしている。 最近では十本のうち三本程度ならとれるようになった。 「じゃあ、夕方は俺と魔力コントロールの練習な。」 父様は、最初はこの世界の学問を教えてくれていたのだけれど、二度目の生のこの体はスペックが高いらしく、すぐく覚えてしまい、今では家事をしながら魔力コントロールの魔力玉や人型を作ったりするということをしている。 今は邪魔にならないように透明化させて、人型五人と一緒に家事をすることができている。 「はい!」 私は、よく笑うようになったと言われる。 父様たちから色々なことを教えてもらえるようになったり、村の人たちとよく話すようになり、明るくなったと言われた。 そうだろうか? そうならばきっと、父様たちのおかげだと思う。 そもそも、私がこうやって生きているのは、父様たちのおかげなのだから。 そんなある日、近くの村にやってきた時、いつもと違うことに気が付いた。 村の中心である広場から聞こえる物音、気配の多さ。 そして、異様な雰囲気。 「どうしたんですか?」 私は近くにいた顔見知りのおばさんに聞いてみた。 「あら、セツナちゃん。昨日はベリーをありがとうね。」 「いいえ。それで、何かあったんですか?」 聞くと、おばさんは眉をひそめ、広場の方に目をやった。 「たしか、王族直属の騎士って言う人が、お姫様を連れてやってきたのよ。なんでも、このあたりの若い男を集めてるらしいわ。」 若い男って、見た目がってことだよね? だったら、父様や兄様たちも当てはまる。 強さも美しさも申し分ない皆が、王族とやらの魔の手にかかったらどうしよう。 私は引き止めるおばさんの声を無視し、森の中に駆けていった。
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