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主人公side
「そう。自由にだよ。何か望みはあるかい?」
望み?・・・じゃあ、一人でいいから家族が欲しい。
「家族?」
そう、家族。
家に帰ったら「おかえりなさい」「ただいま」って言えて、一緒にご飯を食べて、何でもないことで笑い合える、家族が欲しい。
「・・・分かった。」
ありがとう。こんな願いは大それたことだと思うけど、これだけでいい。
「・・・まあ、僕は創世神だからね!君の願いの一つや二つ息をするより簡単に叶えてあげるよ!」
そう?でも、ありがとう。
動かない体で懸命に笑いかける。
動いたかなぁ。
「っ・・・!こちらこそありがとう。君のおかげで目が覚めたよ。」
・・・?
「ああ、こっちの話さ。それで、僕からもお願いがあるんだけど、いいかな?」
どうぞ。私に叶えられることなら、何でも。
「うん、じゃあ、僕と友達になってよ。」
え。
「駄目かい?」
いいえ、全然。嬉しい。
「そう!僕も嬉しい!」
神様なのに友だちがいないの?
「神様は意外と孤独なものだよ。」
そうなんだ。
「そう。・・・さて、名残惜しいけれど、君を次の世界に送るよ!加護はもう与え終わったしね。」
ねえ、次の世界ってどんなところ?
「えっとね、剣と魔法の世界だよ。」
魔法!すごい!
「あはは、君も使うようになるんだよ。」
そうなんだ。・・・ねえ、最後に質問。
「なんだい?」
貴方の名前を教えて。
「僕の・・・?」
そう。私の名前は白金 雪那。貴方の名前は?
「僕、僕の名前はゼウスだよ。」
ゼウス?そっか。
「うん。じゃあ、雪那、またね。」
「うん、ゼウス、またいつか。ありがとう。」
意識が途切れる瞬間、少しだけ薄れた光の中で、金色の瞳と金色の髪を持った美しい少年が泣き笑いの表情でこちらを見ているのを見た気がした。
だから、できる限りの力を振り絞って、笑いかけてみた。
ふっと意識が途切れる。
うまく笑えたかなぁ?
「・・・・またね、雪那。優しい子。次の人生は幸せになるんだよ・・・・。」
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