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「おやおやぁ?もしかしてそれは真実の黒き宇宙(コスモス)に歪みたる白き混沌(ケイオス)を注ぐことで生み出される『清濁一体の奇蹟(ザ・ワールド・オブ・ギャラクティカ)』でありますかなぁ?」
「どうして普通にコーヒー牛乳なりカフェオレなりと言えないんですかね。」
二藤がすかさずツッコミを入れた相手は意に解することなく自分の分のコーヒーを入れ始める。この3人の中では最も年下(とはいえ平均年齢25歳なのでお察しだが)の男は三石、まるで一般の偏見が具現化したかのようなオタクだ。さらに中二病を患っている。中二病はせめて二十歳になるまでに治しておけ。
「しかし今の一期殿の力説、」
「何?お前聞いてたのあの戯言。」
「それはつまり並行世界、すなわち多次元世界への干渉の可否の足がかりとも言える理論なのでは!?」
「まずさっきの話に出て来るような世界は漫画の中だけだ現実を見ろダァホ。」
「いやいや二藤殿、そのような頭ごなしの否定は世界を狭めますぞ?もっとワイドにグローバルな視点を持たなければ!」
「その言葉には賛成したいとこだが今までの話の流れでは同意しかねる。」
「かぁっ!頭が固いでありますね!そんなことではいつかその頭から飛び出しビンビンにそそり立つ異界との交信機『アニマティック コミュニケータ』が意図せぬ頭蓋を突き破りますぞ!」
「なんだその意味のわからん表現は。そして俺のアホ毛に気色悪い比喩とアホくさい名前をつけるな。」
「何!?二藤のそれはアンテナだったのか!?つまり君は…」
「ロボットでもサイボーグでもホムンクルスでもねえよ!そして反応がどうして一歩遅れて来るかなこいつは!」
突如としてチャイムが鳴る。話は中断され、一期が立ち上がった。
「では、我らの歓談を邪魔する無粋な輩を片付けつつ三石に任務の引き継ぎを行うとしよう。」
「了解であります!」
「無粋な輩とか言うな、お客様と言え。」
そうして騒がしい二人は休憩室を去った。
これは、身近にあるなんて事のない会話の中に見出された奇跡。
conte be near…そう、深夜のコンビニ店員が繰り広げている誰も知らない寸劇である。
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